筆者中村があなたに伝えたい言葉

いよいよ決心して保護犬を受け入れることにした。事前に色々と調べて必要なものも揃えたし、普通の犬と少し違うことも承知で覚悟を決めた!…はずなのに

なかなか慣れてもらず触れない、しつけができない、疾患を抱えていたことが判明…など、現実に直面する瞬間はありませんか?

これは私の完全な偏見と予想ですが、保護犬を受け入れた方の多くはとても優しい人です。優しい人であるのと同時に完璧を目指し、自分の持てる最高の力で幸せにしてあげたいと思い、いつの間にか力の抜き方を忘れてしまっていませんか?

余裕がなくなるとあんなに可愛かった愛犬のことが嫌いになってしまったり、自分では手に負えないとわかったけど保護犬を譲渡先に返すわけにもいかない八方塞がりに。そんな、犬へ向かう気持ちが愛から虐待へ変わってしまう、育児ノイローゼならぬ飼育ノイローゼなんて言葉もネットではちらほら見られます。

保護犬を受け入れて心が挫けそうなあなたへ、アドバイスなんてよくできたものではないけど、保護犬を迎えて看取った私が伝えたいことを5つに絞ってみました。

完璧なサポートなんて誰もできない

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心が傷ついた犬もいるし人間に敵意を向ける犬もいます。だからこそあなたはその子を救いたいと考え、我が家に連れてきたのだと思います。

もう二度と不幸にしないために、やれることは全て全力で。でも、人間ですから時として失敗してしまいますよね。

例えば、テーブルに置いておいた人間用のスナック菓子を愛犬が食べてしまったら、私ならめちゃくちゃ反省するし後悔します。

でも対策を考えて反省したらもう自分を許しましょう。動物と暮らせば小さな失敗なんて数え切れないほどします。その度に自分を追い込んでしまっては愛犬に向けるべきエネルギーを使い果たしてしまいます。

保護犬の境遇はそれぞれ違います。だから飼育の基本型はあっても唯一の正解なんて存在しないのです。

たまには手抜きでもヨシ!

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健康面を考えて毎日手作り食をあげたい方は多くいると思います。毎日広いドッグランで遊ばせてあげたいという方も。

もちろんできる人はできますが、そう簡単なことではないと、やってみようと思った方はわかるはずです。

毎日できなかったら週1とか、自分の気分が上がったときとか、ムラがあってもいいと思うのです。手作り食をあげなくても良質なフードを食べてもらえれば犬は死にませんし。

散歩だって、人間のわがままで行けない日があってもいいと思います。そりゃ毎日行くのをオススメしますし、それが健康的な犬の生活です。
一方で私はあなたに、犬に人生を奪われないようにして欲しいとも思うのです。望んでそうなるなら別ですが、行きたい場所や食べたいもの、夢だってあるのに、それをないがしろにしてなんでもかんでも犬優先ではそのうち「辛いなぁ」と思う瞬間が来ます。

犬に人生を奪われるあなたと、人生の中に犬がいるあなた、どちらが人として生きやすいですか?

手を抜くこともあっていいんです。家族や知人にお世話を代わってもらったり、ペットシッターを利用したりすれば何かあっても大丈夫。
老犬専門のケアサービスもありますし、今後はこうした飼い主さんの負担を減らすサービスは増えると思います。周りの声に流されずに使えるものは使いましょう。

でも、勘違いして欲しくないのが、慢性的に手を抜くのは違いますよーということ。犬を迎えたのなら最期の瞬間まで100%の力で生活を共にしてください。

でも、その100%の力を出すために、意識的に飼い主さんの休憩を作ってね、という話。

犬に見返りを求めない

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とにかくお金と時間が犬に持って行かれます。しかも無駄なお金や貴重な時間が。

評判のいい高級フードに切り替えたけど全く口をつけなかった…

夏の遊びに大きなプールを買ったけど水を怖がって結局使わなかった…

もう迎えてからしばらく経つのにまだ触らせてくれない…

なんて、愛犬にかけた労力とその反応が見合わない事案、ありませんか?

特にイライラしてしまうのがしつけ。すぐに覚える子もいればなかなか難しい子もいます。

「こんなに頑張っているのにどうして…」という考えは捨てましょう。

犬にも事情はあるし、自分のルールがきっとあるんです。そこを無理やり人間の枠に収めようとしても、事態が改善することはなかなか難しいでしょう。

もうそういうもんだと思っていればイライラすることは減ると、信じています。

すぐに吠えてしまう犬はそういうお喋りな子だし、犬だもんトイレは土の上でしたい。人間にとっては高いお金を出して買ったフードでも、犬にはめっちゃまずそうに見えているのかもしれない。

大事なのは「お金や時間、労力では損することばかりなんだわ犬って」と開き直ること。

それ以上に犬たちは大きな愛を返してくれるのでなんの問題もありません。

ついでに言っておくと、どうしても愛犬へのイライラが収まらない時はその子が子犬だった頃とその母犬を思い浮かべます。保護犬なので実際に母犬を見たことがある人は少数だと思いますが、健気に歩く小さな愛犬と母犬を想像するだけで涙が溢れてイライラがどうでもよくなります。

「かわいそう」という概念は消す

「保護犬はかわいそう」

一般的な考えではよくありますし、そうは思っていなくても保護犬を受け入れた段階で少なからずそういった気持ちはあるのかもしれません。

「かわいそう」と思うことは悪いことではありません。でも、それがあなたの心の体力を奪う一つの原因かもしれません。

かわいそうだと思う子には、より手をかけてあげたくなってしまいますし、思い入れも強くなりがちです。だからこそうまくいかなかったときのダメージは大きいのです。
「かわいそう」のフィルターを通したまま接していると、愛犬がどんどん老いていく姿や弱っていく姿を目にしてさらに心の負担は増えていきます。

あなたの愛犬はほかの犬と何も変わらないのです。悪さをしたら怒ればいいし、目があったら思いきり褒めてあげればいいんです。
勝手に老いていくし病気もします。

その子はあなたの家にやってきてかわいそうなことなんてないはずですよ。

いつか死ぬ、あなたよりも先に

どれだけ穏やかな日々を送っても、やんちゃでも、怖がりでも、病気で苦しんでいても必ず息が止まるその時が来ます。

悪さばかりしていても人間の一生に比べたらほんのワンシーンです。周りに迷惑をかけるくらいのやんちゃ度であればもう少し飼い主さんの力が必要ですが、あっという間に静かに寝てばかりの犬になりますから安心して見守ってあげてください。

人間を信じていない子でも、最期をあなたの側で迎えられるなら少しは良かったと思うのではないでしょうか。

ひとりで抱え込まないで

思ったよりも保護犬と暮らすことって難しいと感じる人は多いと思います。犬をたくさんを飼育してきた人でも、保護犬の世話では四苦八苦することもあります。

私が最初に暮らしたボタン(雑種♀/保護時推定8歳)は、人馴れはしていたものの、排泄は散歩の時しかできずにスキあらば脱走しようとしていた子でした。
一度、ドッグランに行った際ついに逃げ出して(なんとか捕獲)本当はこの子うちに居たくないんじゃないかと、放浪したままの方が気ままに生きられたんじゃないかと考えたことがありました。

思い悩むことは度々あります。でもその度に、ひとりで解決しようとせずに誰かに相談したり愚痴ったりしましょう。お世話も自分ひとりで完結してしまうのではなく、日頃から家族に協力してもらったり、アドバイスを求めることができるような人を作っておくと安心できます。

きっと犬に優しいあなただから、犬のせいで苦しまないでほしいのです。